ロゴデザイン 『アライアンス・アライブ』

こんにちは。へそもげです。

ロゴデザインのお仕事ををしました。

2015年に発売された「レジェンドオブレガシー」の後継作になるRPG「アライアンス・アライブ」。
PD兼Dの松浦 正尭氏からの再びのお声がけにより、実現いたしました。

 

氏は私の監督作「ヴィーナス&ブレイブス」のファンだそうで、
作品と共にロゴも大変気に入って下さり、前作レジェンドオブレガシーで初めてお声がけいただきました。

ヴィーナス&ブレイブスのロゴは、開発の真っ只中に私が自ら作ったものです。音声収録のスケジュールとかぶっていて誠に大変だった記憶があります。
RPGの監督をしながら、ロゴデザインをするような酔狂はなかなか無いと思うのですが、そのおかげでこうしてご縁ができていることを思うと、やりたい事はやっておくものです。

RPGにおけるロゴデザインは、ことのほか重要であると私は考えます。

前回、レジェンドオブレガシーの記事では以下のように書いています。

ゲームというコンテンツは、膨大な要素を持つ複合作品です。
特にRPGは、絵や音楽、物語という情緒的なものも多分に含みます。
そういう膨大な物が積みあがったピラミッドの一番頂点のピンポイント部分がタイトルロゴ。
だから、できるだけその全体像をうまく抽出して、代弁できるものでないといけません。

世界観や絵柄、シナリオ、それらを物語として体験するためのゲームプレイ。
そういったものを象徴して、矛盾のないものであることが理想です。

レジェンドオブレガシーではこのようなロゴを制作しました。

 

“剣と魔法の正統派ファンタジー”“楽曲の透明感”“スピード感のある、風や勢いを感じる、颯爽としたイメージ”などを視覚化しています。

[ レジェンドオブレガシーの時の記事は→こちら]

さて、そして本作『アライアンス・アライブ』。

今回は前作同様、企画書、制作中のプロトタイプを見せていただきながら、
世界観や全体のテーマなど細かく伺いました。

もろもろの設定などからイメージを思い浮かべながらお話していたのですが、

口を開けばとかく暗い未来予測が出てきがちな今だけれども、
そんな現状の中、
「新しいRPGを生み出して、楽しく遊んでもらうんだ!」
という姿勢の中に、とてもとても力強い意志を感じました。

チームワークを離れて個人制作している私は、そういったエネルギーを自家発電的に日々蓄えておく必要があるのですが、久しぶりに “共に働くメンバー” の力強いエネルギーに触れ、とても嬉しく思った記憶があります。

『レガシーの流れを汲んではいるけれど新作』という立ち位置から、自分の代表作である「セブン」から「ヴィーナス&ブレイブス」に至ったときの決意を思い出してもいました。

“暗闇を切り裂こうとする光、鋭いほどの眩しさ”

そんなエネルギーです。

今回はゲームの中のイメージはもとより、それ以上に、松浦さん率いるこのプロジェクトのそんな開発姿勢そのものをロゴに表現したい、すべきなのではないかと考えました。

こちらが今回制作した『アライアンス・アライブ』のロゴ。

“ファンタジックな雰囲気”といった『安心感のあるゲーム的なおなじみの文法』以外の要素を意図的に持ち込んでいます。

グラフィティアートのような躍動的な力強さ、シンメトリを強調した風格感。

イラスト部は作中の「太陽の紋章」のデザインを元に、
『後世の魔術師や研究者が、書物の中で使用した挿絵』
のイメージで描き直し、敢えて元のデザインよりも禍々しい強さを出しています。

また今回は、レガシー以上に松浦監督と浅野アートディレクタの導きによって作られた面が実は強いです。

制作中では、各段階で複数案を用意しつつご要望を頂戴するのですが、
「この位が落とし所だろう」と想定したものではなく、お二人は常に「一番派手な案」を選びました。

その経緯があり、私が音楽関係のアートワークで培ってきたコワモテなエッセンスをふんだんに入れています。

そのように、いかにもなファンタジー的、ゲーム的なものとは違う、異質感のある強さを持つものであるため、
作業中は、たびたびキャラや背景に乗せ、マッチングを確認しながら制作していきました。

キーカラーである紫を配していることで概ねどんな要素にもある程度マッチするわけですが、
平尾リョウさんの描く愛らしいキャラクタとはある意味では正反対といえるほどベクトルが違うのに、妙な親和性があって気に入っております。

このあたりもまた、松浦・浅野両氏が全体を掌握した上での導きがあり、成立したのだと思います。

私がゲーム関係のロゴを作る時、いつもあらかじめ自分の心に満たしておくものがあります。

それは、自分の中高生時代、ただゲームが大好きだった一プレイヤーだった頃のワクワク感。
ゲームのタイトル画面やパッケージから放たれる、溢れ落ちるほどに豊かなイメージ。
他では得られないファンタジーやSFの異世界体験。
グラフィックもサウンドも今からすれば全くチープなのに、それを感じさせない統一感から得られる完成度。
それらが、ロゴからすでに匂い立っていた、そんな往年の名作たち。

「あの頃に戻りたい」のではなくて、
あの頃自分が感じた純粋なワクワク感が、いまのプレイヤーに伝わるようにしたい。
そんな想いです。

そういうものをさまざまに含めて、導かれながら作業しました。
ロゴ単体での参加でしたが、この作品に関われたことを光栄に、嬉しく思っております。

ゲームをプレイされた方々にとって、さまざまな素晴らしい体験とともに片隅の記憶に残るロゴであったら何よりです。

末筆ながら、かくも意欲的な、攻める気満々の部隊に必要なメンバーの一人として選ばれたことが本当に嬉しく、光栄です。

RPG「アライアンス・アライブ」(任天堂3DSソフト)

来る22(木)発売です!
http://alliance-alive.jp/
川口忠彦
HESOMOGE

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