“her strength (Inner Cerberus)”

みなさま明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

個展の芳名帳などで住所を頂いている一部の方にはお送りしている年賀状、今年はほぼ確実に元旦に届いたことでしょうから、こちらでも絵と詩をご紹介しつつ、解説を加えて新年のご挨拶とさせていただきたいと思います。

 

“her strength (Inner Cerberus)”

冥界の番犬は
やがて少女の腹心となり

鉱石達は祝福を歌い
闇に銀河がこぼれだす

怯えぬように
忘れぬように

2017.12 川口 忠彦

M画用紙・鉛筆・Sai・ClipStudio・Illustrator・Photoshop

 

タイトルに“her strength (Inner Cerberus)”と冠した通り、タロットカードの『力(Strength)』に軽くなぞらえてみました。

『力(Strength)』カードには、《知性と本能の拮抗》《自己統制》《勇気》《自然や本能といった動物性への接近》といった意味があります。

人が成熟して自立していくために“自己といかに和解していくか”ということは、ひとつの大きなテーマではないかと思います。
そして、この場合の“和解すべき自己”とは、たとえば恐怖心、不安感、嫉妬心、猜疑心、攻撃衝動…といった動物的な衝動、本能的な反応であることがほとんどかと思います。

それらの動物的衝動を、今年2018年の干支の戌にちなみ、《地獄の番犬ケルベロス》として描いてみました。

この強大なケルベロスは、殺すことは叶わず、無きものにしたければ目を背けて狭い幻想を作るのみです。

また、もともと勇敢さも、怯えも、同じく動物的な本能から湧いてくるもの。
内側に住むケルベロスの力です。

攻撃衝動は、うまく抑制(抑圧ではなく)すれば勇敢さになります。
不安は慎重さに、
猜疑心は計画性に、
孤独は、自立し己を磨く決定的な決意へと、変えることが出来ます。

内側にいるケルベロス―孤独や絶望、猜疑心といったものの中心にある力そのもの―を無理に押し殺そうとするのではなく、飼い慣らし、腹心にしようと。

それこそが自己の解放であり、自己と世界との和解であり、そこからもたらされる内的な力は、力強く、暖かく、信じるに値するものであると。

そういったことを、大きなケルベロスと小さな少女との関係で、タロットカードになぞらえながら構成してみました、

そして、そういった意味的なものは一旦全て後ろに置いて、
《内側から溢れ出るエネルギー、その暖かさと力強さ》を、
《手に取った葉書、その手のひらから温かいエネルギーが湧き溢れるような》、
そんな感覚を産み出してみたいという気持ちで絵画化していきました。

そして最終的に、《ただ一枚の美しい絵》になっていたなら、
あなたが《好きだ》と感じてくれていたなら、
今年最初の試みは成功です。

いかがでしたでしょうか。

今年はそんな試みを、外に出せる作品を、いくつか残していきたいと思います。

みなさまの2018年が、内なる力に溢れたものでありますことを祈ります。
本年がみなさまにとって、世界にとって、私にとって、どうか良い年でありますように。

川口 忠彦

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