46歳になりました。

今年も誕生日に記事を書いています。 「◯◯歳になっちゃった」 と思うとそれほど楽しくないので、 「あんなに病弱だった自分が、46年も何とか生きてこれた。生き延びてこの世にノサバッてやったぞざまあみろ!ばんざい!」 と、これまでの無事を祝う日にします。 ◇ 昨年の誕生日には“秋”の個展に向けた所信表明をしていたのですが、 すみません。“延期”したきりそのまま今に至ります。 「次の個展はしっかりとレベルアップしたもの、今の自分が納得できるものを」と思っていたところ、なかなか自分の基準をクリアできず、さまざまなことを見直し、対処しておりました。 なにぶんひとりでやっており、ブランドというか、手がけるものに対する信頼感を負っていかなければなりませんから、中途半端なことはできないのです。 しかし、やる気がなくなったとか言うことでは全くなく、気力はより充填されております。 今これを読んでいるあなた!そう、あなたはまだ見捨ててはいないのだろうと信じて、歩んでおります。 日々、たゆまず進めていますので、どうぞ気長に、楽しみにしていただけたらと思います。 ◇ いまはただただいろんな方向から絵に向き合っているところです。 絵を描いているとあっという間に夜になります。 以前に比べて絵についていろんな要素を気にしながら描くようになったので、 意識集中脳みそフル回転で、ちょっと絵を進めていたらすごく時間が経っています。 「こりゃ、あっという間に死ぬな」 と恐ろしくも思います。 毎日がそうですから、人に会うこともほとんどありません。 ほとんどずっと一人で部屋の中で絵を描いているだけです。 けれど、退屈しているわけではなくむしろその逆なのですから、充実そのものの暮らしです。 内的な充実感と、時間感覚のなさ、恐ろしくも楽しい日々です。 ◇ そんな中で、ひとつ思い至ったこととして、会社員時代と大きく変わったことがあります。 それは 「発表のために作品を作る暮らしをしているのではない」 と考えるようになったことです。 自分の場合は、実感として 「2000日ぐらい頑張ると、何日かいいことがある」 ようです。 例えば個展や何かの発表といった「ハレの舞台」。 多くの人が、自分の作品のために訪れてくれて、次々に良いフィードバックをくれる。 ときに「やっと会えた」と感動してくれさえする。 本当にありがたく、素晴らしすぎる体験です。 しかしこの素晴らしさは、素晴らしいがゆえにちょっとした“罠”にもなる。 このすばらしい日、2000日の後の何日かが本来あるべき『主』で、 それまでの2000日をその日を向かえるための『従』としてしまうと苦行のように地味に感じてしまいます。 そうではなくて、この2000日の繰り返しこそわが仕事であり、暮らしの“本編”なのです。 何日か訪れるハレの日は、単なる特殊な瞬間、イベントです。 そう捉えることで、ようやっと地に足が付いた感覚になるのです。 自分にはそのつもりはなかったのですが、「成果こそすべて」と言ったビジネス的な成果主義的思考がこびりついていたのかもしれません。 “樹齢500年の大木は一日で育たない”という単純な事実を受け入れて、できるだけペースを乱さずに進んでいくように心がけています。 ◇ 一方で、 「人は外圧を受けそれに対抗するとき、最大のエネルギーを出す」 とも思っています。 「良い作品が揃ってから発表すれば良いのだ」という意識だけでは、いまひとつ力が出ない。 スピード感のある中でこそ生まれるアイデアやクオリティもあることを知っています。 どちちかに完全に振り切ることなく両輪で動かしていきたいと思います。 ◇ 「なにかをはじめたり、チャレンジするのに年齢は関係ない」 という言葉を信じることにしています。 (今からトライアスロンで世界一を狙ったりはしませんが) 46歳になった今、 絵について、創作について、表現について、 分からないこと、知らないこと、できないこと、 たくさんあります。 とりくむべきことがこんなにあるんだと、 そのことに凄くワクワクします。 日々、そのひとつひとつを試し、これまでわからなかったことが理解できたり、できなかったことが出来るようになっていることに、至福の喜びを感じます。 そんな心境で40代後半を迎えました。 ◇ さいごにもう一つ。 “言葉は常に、思考や想念から遥かに遅れてくる” ものだとわかりました。 言葉になった頃には、思考や想念はもはやその場所ではなく、かなり遠いところまで行っているかもしれない。 つまり、今日ここにこうして書いたことも、大してあてにならない。 ひょっとしたら現に今、潜在意識レベルではほとんど違う考えになっているかもしれない。 なので今後、私がまったく違うことをしていたとしても、どうぞ 「お前あの時ああ言ってたじゃないか!」 と責めないで下さい。笑 ◇ 追伸 あ、そうそう。 去年の誕生日の少し後、 金魚を飼い始めて、もうじき一年になるよ。   死なせちゃったりもしたけれど、最近はようやくコツを掴んできて、共に元気にやってます。 かわいいよ。愛らしさの固まり。     読んでいただきありがとうございました。   2017.6.20 川口忠彦 HESOMOGE 拝  

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ロゴデザイン 『アライアンス・アライブ』

こんにちは。へそもげです。 ロゴデザインのお仕事ををしました。 2015年に発売された「レジェンドオブレガシー」の後継作になるRPG「アライアンス・アライブ」。 PD兼Dの松浦 正尭氏からの再びのお声がけにより、実現いたしました。   氏は私の監督作「ヴィーナス&ブレイブス」のファンだそうで、 作品と共にロゴも大変気に入って下さり、前作レジェンドオブレガシーで初めてお声がけいただきました。 ヴィーナス&ブレイブスのロゴは、開発の真っ只中に私が自ら作ったものです。音声収録のスケジュールとかぶっていて誠に大変だった記憶があります。 RPGの監督をしながら、ロゴデザインをするような酔狂はなかなか無いと思うのですが、そのおかげでこうしてご縁ができていることを思うと、やりたい事はやっておくものです。 ◇ RPGにおけるロゴデザインは、ことのほか重要であると私は考えます。 前回、レジェンドオブレガシーの記事では以下のように書いています。 ゲームというコンテンツは、膨大な要素を持つ複合作品です。 特にRPGは、絵や音楽、物語という情緒的なものも多分に含みます。 そういう膨大な物が積みあがったピラミッドの一番頂点のピンポイント部分がタイトルロゴ。 だから、できるだけその全体像をうまく抽出して、代弁できるものでないといけません。 世界観や絵柄、シナリオ、それらを物語として体験するためのゲームプレイ。 そういったものを象徴して、矛盾のないものであることが理想です。 レジェンドオブレガシーではこのようなロゴを制作しました。   “剣と魔法の正統派ファンタジー”“楽曲の透明感”“スピード感のある、風や勢いを感じる、颯爽としたイメージ”などを視覚化しています。 ◇ さて、そして本作『アライアンス・アライブ』。 今回は前作同様、企画書、制作中のプロトタイプを見せていただきながら、 世界観や全体のテーマなど細かく伺いました。 もろもろの設定などからイメージを思い浮かべながらお話していたのですが、 口を開けばとかく暗い未来予測が出てきがちな今だけれども、 そんな現状の中、 「新しいRPGを生み出して、楽しく遊んでもらうんだ!」 という姿勢の中に、とてもとても力強い意志を感じました。 チームワークを離れて個人制作している私は、そういったエネルギーを自家発電的に日々蓄えておく必要があるのですが、久しぶりに “共に働くメンバー” の力強いエネルギーに触れ、とても嬉しく思った記憶があります。 『レガシーの流れを汲んではいるけれど新作』という立ち位置から、自分の代表作である「セブン」から「ヴィーナス&ブレイブス」に至ったときの決意を思い出してもいました。 “暗闇を切り裂こうとする光、鋭いほどの眩しさ” そんなエネルギーです。 今回はゲームの中のイメージはもとより、それ以上に、松浦さん率いるこのプロジェクトのそんな開発姿勢そのものをロゴに表現したい、すべきなのではないかと考えました。 こちらが今回制作した『アライアンス・アライブ』のロゴ。 “ファンタジックな雰囲気”といった『安心感のあるゲーム的なおなじみの文法』以外の要素を意図的に持ち込んでいます。 グラフィティアートのような躍動的な力強さ、シンメトリを強調した風格感。 イラスト部は作中の「太陽の紋章」のデザインを元に、 『後世の魔術師や研究者が、書物の中で使用した挿絵』 のイメージで描き直し、敢えて元のデザインよりも禍々しい強さを出しています。 ◇ また今回は、レガシー以上に松浦監督と浅野アートディレクタの導きによって作られた面が実は強いです。 制作中では、各段階で複数案を用意しつつご要望を頂戴するのですが、 「この位が落とし所だろう」と想定したものではなく、お二人は常に「一番派手な案」を選びました。 その経緯があり、私が音楽関係のアートワークで培ってきたコワモテなエッセンスをふんだんに入れています。 そのように、いかにもなファンタジー的、ゲーム的なものとは違う、異質感のある強さを持つものであるため、 作業中は、たびたびキャラや背景に乗せ、マッチングを確認しながら制作していきました。 キーカラーである紫を配していることで概ねどんな要素にもある程度マッチするわけですが、 平尾リョウさんの描く愛らしいキャラクタとはある意味では正反対といえるほどベクトルが違うのに、妙な親和性があって気に入っております。 このあたりもまた、松浦・浅野両氏が全体を掌握した上での導きがあり、成立したのだと思います。 ◇ 私がゲーム関係のロゴを作る時、いつもあらかじめ自分の心に満たしておくものがあります。 それは、自分の中高生時代、ただゲームが大好きだった一プレイヤーだった頃のワクワク感。 ゲームのタイトル画面やパッケージから放たれる、溢れ落ちるほどに豊かなイメージ。 他では得られないファンタジーやSFの異世界体験。 グラフィックもサウンドも今からすれば全くチープなのに、それを感じさせない統一感から得られる完成度。 それらが、ロゴからすでに匂い立っていた、そんな往年の名作たち。 「あの頃に戻りたい」のではなくて、 あの頃自分が感じた純粋なワクワク感が、いまのプレイヤーに伝わるようにしたい。 そんな想いです。 ◇ そういうものをさまざまに含めて、導かれながら作業しました。 ロゴ単体での参加でしたが、この作品に関われたことを光栄に、嬉しく思っております。 ゲームをプレイされた方々にとって、さまざまな素晴らしい体験とともに片隅の記憶に残るロゴであったら何よりです。 末筆ながら、かくも意欲的な、攻める気満々の部隊に必要なメンバーの一人として選ばれたことが本当に嬉しく、光栄です。 RPG「アライアンス・アライブ」(任天堂3DSソフト) 来る22(木)発売です! http://alliance-alive.jp/ 川口忠彦 HESOMOGE 拝

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“鳥王フェニクス”

寒中見舞い申し上げます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 今回は、年始のご挨拶としてお送りしたハガキの絵を軸に、少しお話をしたいと思います。 これまでは、あえてアナログに、ハガキを手にした人だけのお楽しみということにこだわっていたのですが、今回はより多くの方に楽しんで頂けたらと、画像にて紹介したいと思います。   “鳥王フェニクス”と題した、ドローイング作品です。   “鳥王フェニクス” 冥府の闇空 宵の国 鳥王フェニクス 幾千の光雛 我らは源 我らは闇 尽きることなく 湧くいずみ 降り注げ わが子らよ 燃え盛れ 光よ 彼の地 彼の果て 彼の夢に 制作 2016.12 川口 忠彦 モンバルキャンソン紙・鉛筆・ClipStudio・Photoshop   表現したいことは全て絵と詩に込めてあるのですが、 今日は蛇足ながら、画作りや背景になる文脈のことについて、少し解説をしたいと思います。 以下は単なる私の方の考えであり、少しでも楽しみや味わいが増えれば、という意図のものです。 絵を見て下さった方が感じたことを、否定したり、修正を迫るようなものではまったくない、ということをあらかじめ申し添えておきます。   《画作り》 酉年ということで、“鳥”縛りで、フェニックスを題材に。 『闇を描くことで光を描く』という、絵画の王道スキームで組み立てました。 フェニックスは復活、不滅性、再生、存続を象徴します。 小鳥たちが育つための巣になろう木枝の冠、 我が子らを見る鳥王の慈愛の表情と、決して全体を明るくしないながら、階調のコントロールをデリケートに施し、強く温かい光を感じられるイメージにこだわりました。 鳥たちや各ポイントの構図上配置での視線の躍動感。 質感は、アナログとデジタルを行き来し、スモーキーな雰囲気が出るようにしました。 できるだけイマジネーションの濃い絵に仕上げたく、 そのようなことをいろいろ施しましたが実現できていますでしょうかね。   《制作背景》 2016年、世の中は悲しみや混乱、不安の拡大した年でありました。 日本が将来に抱える悩みも、相当に重い。 そんな中、失われた命や希望を補填し再燃させたい、 私たちはただ閉塞に向かう世界を生きているというのではなく、 尽きることのない力が何処かにあると心の隅に信じていたい。 そういうものがあるんだというヴィジョンを、ひとつの意思として、形にしておきたい。 振り返るとそんな思いがあったように思います。 見てくれた一人ひとりの方が、具体的にどんな状況にあるのか、私に知る由はありません。状況も、年齢も、全然違うことでしょう。 しかし、同じこの時に2017年を迎えるにあたって、 感じていることや負った傷、喪った悲しみや、 誰かや何かを大切にしたい気持ちなど、 通じ合うものも少なくないと思います。 共に迎える新年と、見てくれた一人ひとりを祝福したい。 ささやかな絵でありますが、 一つには、そういう想いを持ち。 そしてもちろんもう一つには、 ただただ「美しい絵を描きたい」という一心で、 持てる力を総動員して、仕上げた次第です。 改めましてみなさまの2017年を祝福いたします。 どうか良い年でありますように。 川口 忠彦 拝

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ロゴデザイン ”MUSIC ENGINE”

こんにちは。 このたび、新しい音楽団体“MUSIC ENGINE(ミュージック・エンジン)”様のご依頼によりブランドロゴを制作いたしました。   “MUSIC ENGINE”は、新旧のゲームミュージックを、大小さまざまなクラシック様式での演奏を企画・実行していく新しい音楽団体。 VENUS & ECHOESでお世話になっている河合晃太さんが発起人・主宰をなさっています。 河合さんはもともとVENUS & BRAVESをこよなく愛してくださり、 13年越しに実現したVENUS & BRAVESの単独演奏会であった “VENUS & ECHOES” のご縁からのオファーです。 しかしながら、今回の“MUSIC ENGINE”は、さまざまな作品を演奏していくとのことで、VENUS & BRAVES的なテイストからは少し離れて、新しいラインを模索していきました。 (とはいえ、私の場合はロゴデザイナーではなく、絵描きとしての取り組みになるので、大きな部分のテイストは変わらないのですが。) 団体の活動のイメージ、候補に挙がっているタイトルやスケール感などをヒアリングして、コーディネート致しました。 "(1)文字部は「ファンタジーRPG等を主軸に、ゲーム音楽をクラシック管弦楽で演奏する」という団体の構想から、クラシカルでゴシック的な字体を、優雅なカリグラフィ調でファンタジックに仕上げる。 また、MUSIC ENGINEという単語と構想作品のイメージから、直線要素を強調し、男性性・少年性を表現。 (2)イラスト部は「MUSIC ENGINE」という概念の視覚化を試みる。 「音楽を原動力とするエンジン」そして「音楽を作るエンジン」を、 弦楽器やホルン、パイプオルガンなどのエッセンスを用い、エンジンのパーツに組み合わせて表現。 ファンタジックでクラシカルな装飾や味付けを加えつつ、少年的ロマンを感じられるようメカニカルに構成。" ――制作ノートより ◇ 今回は、製品名や企画名ではなく、団体としてのロゴになるので、 メインで使用されることもありつつ、今後はクレジット的に使用されることが増えるであろうということから、地紋や加工のないバージョンも用意してあります。   各所でデザイン要素の一つとして配置されるときに、その紙面や企画にロマンやイマジネーションを付加するように、また言葉を用いずに、クオリティの保証をできるように、そんなふうに機能して欲しいと思い制作致しました。   第一回目の企画は 今年の11月12日、「エストポリス伝記II」という作品の演奏会になるとのことです。 公式サイトはこちら↓ musicengine-info.net 企画運営に関わる方、演奏者として関わる方、来場者の方々に愛着のあるロゴに育っていきますように。 今後の“MUSIC ENGINE”の発展をお祈り申し上げます。   HESOMOGE ARTWORKS 川口 忠彦 拝

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45歳になりました。

  皆様こんにちは。 本日めでたく45歳になりました。   ここ数年、毎年誕生日記事を書いています。 ちょうど上半期が終わる頃、思いを馳せるのによいタイミングです。 41歳の時の記事でこう書いています。 “今振り返って思えば、自分にとっての30代は、ほとんど丸々、暗いトンネルの中にいたようなものだった。 自分の思っている自分と、自分が実際に置かれている状況と、自分でも気づいていなかった自分の心の声…それらの不協和に苦しんだ。 一言で括ってしまうなら、暗澹とした10年だったといってもいい。 その長く、暗いトンネルから、音を立てるように抜けだせたのが40歳の一年だったように思う。” 40歳になった年に、初めての個展をしました。 作家としてはあまりにも遅いスタートです。 しかしこの5年、その30代の不遇(と敢えて言ってしまおう)を取り戻してなお余るほどの、過去や今の作品への反響をたくさん頂きました。   いまは、秋に控える、新作展に向けて、日々、心・技・体を整えているところです。 作家としての第2ステージ。次の一手です。 ゲームの絵やバンド関係のアートワークの蔵出しではなく、青い鳥タロットの小アルカナ展というわけでもなく、新しい世界。 けれどそれは、セブンも、ヴィーナス&ブレイブスも、姫君の青い鳩も、青い鳥のタロットも、全てその根を共有する、根源的世界です。   さまざまなテイストで創作をし、時に人を惑わせてしまう私ですが、 大きく一貫していることがあります。 それは “ファンタジーを描く” ということ。   心理学的に、ファンタジー≒お伽話とは、心理的に未成熟である子供が成長していく中で、現実の世界を少しずつ受け入れていくために、現実の中に夢を散りばめ、夢のなかに現実をなぞらえ、受け止めやすくしていくオブラートのような機能があるのだそうです。   かつてゲームの中で形にしたのは、“青少年向け”のファンタジーでした。 青年期の自分が、救われ、胸焦がし、生きる糧になっていたもの。 そこには、「世界は生きるに値する」という、強烈な世界の肯定がありました。 それらのファンタジーを咀嚼しながら、大人の世界、社会の一員として世界を受け入れていくための心理的な準備をしていたように思います。   そしていま、絵画の中で形にしたいものは、“大人向け”のファンタジーです。 私も含め、今を生き、そして半世紀を待たずに死んでいくであろう多くの命にとって、 それら全てを美しく、愛おしく思えるような“世界の観かた”。 安らかな暗闇を、そこから望む遥かな光を、滅びを前提に燃え盛る希望を、表しておきたい。 「それでもなお、世界は美しい」と。「生きるに値する」と。 そう自然に湧き上がる、私たちの原風景、ファンタジーの世界を、形にして残しておきたいのです。   “薄明のステュクス”であり、“巡礼―亡き王都へ―”、“再生の島”といった、近年私が断片的に描き出そうとしてきた世界です。   45歳、遅ればせながらの作家活動第2ステージ。 初陣は11月の個展です。 万全の準備で望む所存です。 …誕生日の記事のはずが、個展のことだけ書いておりますが(笑)、 偽らざる私の今の近況報告です。 可能な限りあらゆる「所属」から離れて、日々創作に没頭して生きております。 そんな私です。 よろしくお願いいたします。 川口 忠彦 拝

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『VENUS & ECHOES』を終えて

去る1月9日に行われた『ヴィーナス&ブレイブス』の楽曲演奏会『ヴィーナス&エコーズ』は大盛況でした。 発売から13年分の、深く熱い想いを持つ数百人で作った、儀式のように真摯に始まり、笑顔と涙で過ぎ去った時間。 当日は演奏者と指揮者の面々はもちろん、フロアスタッフの皆さんも大活躍で、大変お疲れ様でございました。   ◇   私は、当日に至るまでの約一年、ビジュアル面と企画のコンセプト面を作りあげていきました。 デザイナーの白倉良晃氏と共に、キービジュアルやパンフ、アンコールの掲示にも気を配って、 全てのデザイン要素を「一級コンテンツの設え」になるようパッケージングしました。 企画名やキャッチコピーも提案させていただきまして、 「“本物感”漂う、商業クオリティのエッセンス」をふりかけていきました。 『“監督全面協力”の本気』です。 結果として「演奏会」としてはもちろん、それ以上に、イベント全体がひとつの作品であるかのごとく『 VENUS & ECHOES 』という新たな魂の宿りを感じていただけたなら、今回の私の試みは成功です。   ◇   個人的に、そこまでパワーを注いで企画の実現と成功に向けて尽力した一番の目的は、 「ヴィーナス&ブレイブスファンの方への恩返し」です。 とりわけ、「ここ何年も僕の個人活動を応援してきてくれた方々への恩返しをしたい」というのが正直なところでした。 そして、それはしっかり果たせたと言っていいと思います。 あの場にいた多くの人達が素晴らしい楽曲と演奏を心から楽しんだことは、その場からも、終演後に皆さんとお話していたときにも、十二分に伝わってきました。 この企画に尽力したことが、 「続編ゲーム」という形で次をお見せできない、自分なりの精一杯の恩返しです。 喜んでいただけたようで、本当によかったです。   ◇   さて、私は以前から「ヴィーナスは“Waltz for ~”だけ突出しているけど、どれも名曲揃いなんだ」と言い続けてきたとおり、「ヴィーナス&ブレイブス」の音楽が良いものであることは、自分にとっては“14年前からの”自明の理です。 また、プロの演奏家であり、かつヴィーナス&ブレイブスのファンでもある河合さんが主催していることで、演奏が良いものになるというのも、確定事項のようなものでした。 (もちろん実現に当たって大変な配慮や苦労があったことと思いますが、それをも乗り越えるだろうという期待も含めてです) そのように、内容的には成功がほぼ約束された中で、私のしたことは、 この企画そのものの『位置づけ』と『演出』です。   私はいま、個人で創作と表現をする作家として活動しています。 「市場や顧客の求めに応じておもてなしをする」エンターテイナーとは違い、 作家は “自らの作品や表現に対して、心から誠実であること” そして “社会の変化を感じ取りながら、全身全霊をもって筋の通った生き方をすること” が、とても大切だと考えています。   述べた通り、この企画の主たる目的はヴィーナス&ブレイブスファンの方々への恩返しをすることです。 一方で、自分が監督した作品の企画であり、そこに自ら絵やデザインの仕事をし、新たに魂を込めるということは、自分の表現活動の一部でもあります。 ヴィーナス&ブレイブスという作品とも、この企画や来てくれる方々にも、そして作家としての自分にも、誤魔化すことなく誠実に向き合う必要がありました。   企画当初からミーティングでずっと言い続けていた、私がこの企画に向かうにあたってどうしても守りたかったことは、 「単なる懐古ではなく、今とこれからのためのものにしたい」 ということ。   語弊があるかもしれませんが、昔を懐かしんで、「おとぎの国をもう一度」することは、簡単なんです。 でもそれはしたくなかった。 ヴィーナス&ブレイブスというあの山はとても想い出深い場所ではあるけれども、旅の途中、 13年前に通った場所で、いまこの瞬間もその旅は続いているからです。 「あのころはよかった」なんて、まだまだ当分言いたくない。 「いま、ここ」の現実をうやむやにせず、肯定するものでありたい。 今日も、たぶん明日も生きる“私たち”のためのものでありたい。 それが、七梨乃那由多氏も書いてくれたとおり(→Link1 →Link2)、 ファンタジー世界とその不可逆的時間経過をテーマにし、また安易な予定調和に安住しなかった 『ヴィーナス&ブレイブスらしい姿』だと認識したのです。   ◇   その結果たどり着いたのは、 「この13年の経過をなかったことにしない」 ということ。   16歳の女子高生が 29歳のお母さんになっている。 当時31歳の私は44歳になり、 18歳の青年がいま31歳になっている。 お互いに、見える世界、持っているもの、信じていることが、当時とはだいぶ違っているはずです。至極自然な、美しいことです。 そういうことを“前提に”、この企画を共有したかった。 そうして、キーヴィジュアルは時間の経過と、現実社会との繋がりをテーマに持つ絵になりました。 “巡礼-亡き王都へ-”  2015 川口 忠彦   プレトークでは、「子供をあやすような話ではなく、大人同士の、中身の濃い話をしよう」と、決心しました。 言ってみれば、私はサンタクロースの衣装を脱いで、皆さんの前に出た。 「知っての通り、サンタクロースという架空の老人はいない。 サンタは君たちのお父さんやお母さんだ。 今、みんなは大人だ。 今度は君たちがサンタになって誰かに夢を見させてあげられる。 誰かの希望になることができる。 それって、おとぎ話のサンタクロースよりも、ずっと確かで夢があることじゃないかな?」 そんな話をしたような気がします。 大人になって現実を知ることって、夢がなくなるようなことばかりじゃなくて、 大人が本気で抱くロマンは、地に足がついた、スケールの大きなものだと思うのです。 なにより実現を目指し、時にそれが現実になることがある。 まさにこの日のようにです。   そんな視点から、この企画を捉えてみてほしかった。 あの時私たちが作った、壮大なファンタジー世界と、私たちが生きる今を、紐づけて、まるごと肯定したかった。 その位置づけと、演出をしたのが、今回の私の仕事です。   2016年1月9日 東京 三鷹。 ヴィーナス&エコーズは大盛況で、厳粛な雰囲気のなか幕を開け、夢のように過ぎ、幕を閉じました。   ◇   13年たって、君たちはいま、 それぞれ自分で舟を漕いで進んでいける。 一人一艘。 他の舟と寄り添ったり、離れたりして。   何年か先、また演奏会で会う方はその大きな会場で、また。   僕の探検に付き合える、勇敢なあなたは、個展など折々で合流しよう。 昔と違って今は一人だけど、僕の旅は続いていて、一人しか通れないような秘密の小島も見てきたよ。 深い淵や、最果ての風景を、冥府に浮かぶ満天の星を、一緒に見よう。   ◇   末筆ながら、 主宰の河合晃太さん、メインスタッフの西田さん、デザインの白倉良晃氏、指揮者の家田さんおよび演奏者の皆さん、演奏のための編曲で多大な協力をしてくれたおおがみまさこさん、スタッフの皆さん、すべてのお客様、ヴィーナス&ブレイブスの開発に関わってくれたすべての皆様、VENUS&ECHOESに関わってくれたすべての皆様に心より感謝いたします。 ありがとうございました。   また会える未来を楽しみに。   川口忠彦 HESOMOGE 拝    

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『青い鳥のタロット』が3歳になりました。

  3年前、2012年の今日、 僕の個展「タロット寓意画展 蒼き鳥たちの祝祭」にて、 『青い鳥のタロット』がひっそりと発表、発売になりました。     タロットカードという題材を選んだのは、『姫君の青い鳩』(ACE COMBAT5劇中童話)で生み出した絵柄を展開させたいという意図と、そしてなにより、タロットカードの持つ神秘的でイマジネーション豊かな、とても魅力的な世界を、自分なりに具現化してみたいと思ったからです。   画集や図録と違い「タロットカード」というフォーマットが、 どのぐらいの人に手に取っていただけるのか、まったく未知数でした。 不安でしたが、創作意欲に任せて作ったというのが正直なところです。 このあたりが、ものづくりの怖いところです。笑   ふたを開けてみると、僕の作品を好きでいてくださる方をはじめ、 タロットや占いの愛好家からプロの方まで、 多くの方が『青い鳥のタロット』を手に入れてくださいました。 この3年間で、想像を遥かに超えて、数多くの方に愛していただいて、生みの親としてとても嬉しく思います。   サツキメイさんのお手引きで雑誌ananの年占いのイラストとして2度にわたり掲載していただいたり、海外のフォーラムやサイトで紹介していただいたりと、有り難き名誉もありました。   なにより、 青い鳥たちが、日々占いや携帯用、観賞用として、ご縁があった方々の生活のお供として寄り添えているようで、そういうことが嬉しいです。   絵を主張することは、創り手として生き残るための手段ではあるけれども、 創作の目的ではないんです。少なくとも、自分にとっては。 見てくれる方、受け止めてくれる方の、生きる励ましや安らぎになることが一番なんです。   ◇   みなさまが“青い鳥” を愛し続けてくださることによって、 そのおかげで 青い鳥たちは今も生き続けています。     だから、今日は発売3周年というより、3歳の誕生日です。 本当にありがとうございます。 心よりお礼申し上げます。   なんだか自分の作品でありながら、すっかり独立した生き物のような感じがするんです。 そもそもタロットというものが歴史のあるものだし、青い鳥というモチーフもそう。 絵柄にしても、もちろんこれは僕のオリジナルですが、敬愛するビアズリーをはじめ19世紀の世紀末美術や挿絵黄金期の先人たちの水脈を受け継いでいるものです。 そういうこともあるのかもしれません。 ということで僕からも「3歳の誕生日おめでとう」と言いたいと思います。   末筆ながら、 監修の三上牧さん、トーキングアバウトの藤井まほさん、 青い鳥タロット親善大使として草の根で広めてくださっている星詠みたりあさん、 anan掲載でコラボをしてくださったサツキメイさん、 流通・販売に関わっていただいているみなさま。 青い鳥のタロットをご愛用、ご紹介くださるすべてのみなさまに、改めて心よりお礼申し上げます。 今後とも、“青い鳥” たちのことを、なにとぞよろしくお願いいたします。 青い鳥は、あなたとともに。   川口忠彦 HESOMOGE 拝   PS おかげさまで昨年増刷した第2版も完売し、このたび第3版を増刷いたしました。 ひっそりとマイナーバージョンアップしております。 カードと解説書は2版と同じもの、ケースが3mm厚になり、出し入れがとてもスムーズになりました。 大アルカナ版としては、これで完全版かと思います。 そして、「小アルカナ」はじめます! ただし! …何年かかるかわかりませんので、どうぞ長い目で見守ってやってください。  

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VENUS&ECHOES キーヴィジュアル

    こんにちは。へそもげです。まだまだ暑いですね。     新作アートワークが完成しましたので公開いたします。 こちら、僕が監督した『ヴィーナス&ブレイブス』の初の楽曲演奏会『ヴィーナス&エコーズ』のキービジュアルとなっております。     タイトルは “巡礼-亡き王都へ-”   発売から13年後にはじめて行われる演奏会。 その意味やありがたみをかみ締めながら、 当時表現したかった世界と、今の美意識とを繫ぎ合わせ。 V&Bが大好きな方なら「あぁ!」と喜んでくれるような、 しかし単なる懐古やファンサービスにとどまるのでもなく。 いまなお、前向きで創造的な、自分にとって描く意味のあるものをめざし、ひとつの光景に託しました。   タイトルロゴとアートワークが今回新しく僕が描きおこしたもの。 レイアウトデザインは、グラフィックデザイナーの白倉良晃氏によるものです。 お気に召していただけたら何よりです。 こちらのフライヤー、各種演奏会などで配布される予定です。 VENUS&ECHOES特設サイトは →こちら こちらの公演は「権利元からの演奏許諾の下実施される、有志による演奏会」です。 主催者様からのご相談を受け、個人的に協力しております。   川口忠彦 HESOMOGE 拝  

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44歳になりました。

  何故か毎年恒例になっている誕生日記事です。(笑) 今年も書きます。         思えばいつもいつも、目の前にあるのはスタートラインばかりです。   小さなゴールは何度かしてきたけれど、 気づけばやっぱり目の前にはスタートラインがあって、 やはりあらたに走り出すのです。   いろんな生き方がある中で、 自分はそういうあり方を望んだのだなと、振り返ってそう思います。   ゴールとスタートの間にいる。 タロットカードの【愚者】のようです。   人生の終わりもぼちぼち視界に入るようになってきたというのに、 44歳なりの落ち着きや貫禄とは程遠く、われながらまったく困ったものだと、ときどき思います。   ですが、いまさら変える気もさらさらなく。 死ぬまでずっと、挑戦者として在り続けようと、ただ思いを新たにするのです。     “つくる” ことを選んだ自分なりの、 これを矜持というのでしょうか。   あたらしいスタートを何度も切って、 思っても見なかった光景を、目の当たりにしていきたいと思うのです。   ◇   読んでいただきありがとうございます。 歳をとってますますつきあいづらい人間だと思いますが、 今後ともよろしくお願いいたします。   川口忠彦 HESOMOGE 拝  

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ロゴデザイン レジェンドオブレガシー

こんにちは。へそもげです。 ロゴデザインをさせていただいたファンタジーRPG「レジェンド オブ レガシー」が、1月22日に発売になります。 ええ、なんとゲームの仕事です。 ゲーム制作の仕事としてはエースコンバット5の『姫君の青い鳩』以来ですから、およそ10年ぶりというところでしょうか。 現在僕はゲーム制作は基本やってないのですが、こういうスポット型は参加しやすくてとてもありがたいです。 このたびは、ディレクターの松浦さんが大のヴィーナス&ブレイブスファンということで召喚してくださいました。僕があの作品のロゴデザインをし、いまは独立していることを知って、コンタクトをくださったのです。 松浦D、まだまだお若くて28歳ぐらい?でしたかと思います。 まさにちょうど、先日の記事に書いた「ラブレター」を宛てた世代なんですね。 自分の作品に共鳴した子たちが大きくなって、こうして自分を呼んでもらえるというのは、とてもとても感慨深いものですね。 初回打ち合わせも松浦Dとヴィーナス話に花を咲かせてとてもたのしく過ごしました。 ◇ ロゴ自体の話。 ゲームというコンテンツは、膨大な要素を持つ複合作品です。 特にRPGは、絵や音楽、物語という情緒的なものも多分に含みます。 そういう膨大な物が積みあがったピラミッドの一番頂点のピンポイント部分がタイトルロゴ。 だから、できるだけその全体像をうまく抽出して、代弁できるものでないといけません。 そういう意味で、ヴィーナス&ブレイブスのロゴを僕が自分で描いたのはしっくりくるというか、理に適ったことです。 本作では、剣と魔法の正統派ファンタジーであるポジション。 浜渦さん楽曲の持つ透明感。スピード感のある、風や勢いを感じる、颯爽としたイメージ。 これらを踏まえつつ、クオリティの高さを体現するため、シンメトリックな安定感も入れることで、インパクトに終わらず、長く見ても、何度見ても飽きない、というバランスを目指しました。プレイヤーの方々に愛着を持っていただけたら何よりです。 ◇ 内容のほうはまだ未プレイなのですが、とても錚々たるスタッフであり、期待しております。ロマサガの「電球」はゲーム史上に残る屈指の名仕様だと思っております。初めて「アローレイン」が発動したときの興奮はいまだに覚えています。 このような意欲作に参加させていただき本当に嬉しく思います。ありがとうございます。 久しぶりの、しっかりしたロゴデザイン制作、ミクロのリズム感の調整がとても楽しかったです。 ↓製品情報はこちら ファンタジーRPG「レジェンド オブ レガシー」 http://www.cs.furyu.jp/legendoflegacy/ 川口忠彦 HESOMOGE 拝

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